Shuhei Matsuyama & Tetsuji OhnoHyperbolic Scape

『Hyperbolic Scape』は、デジタル技術を通じて、日本文化の根底にある精神性を探求する試みです。
本作では、枯山水(かれさんすい)の表現技法に着想を得ながら、日本独特の時空間感覚を可視化し、「もの」に複数の意味を見出す美意識である見立ての感覚を表現しています。
枯山水は、水を用いずに砂と石で自然の風景を象徴的に表現する庭園様式であり、禅の思想と深く結びついています。室町時代に確立されたこの様式では、砂紋が水の流れを、石が山や滝を表し、さらに借景を取り入れることで、そぎ落とされた空間の中に時間とスケールの無限の広がりが生み出されます。この表現の根底には、日本固有の美意識である縮景(空間の凝縮)、見立て(異なるものに見立てる表現)、借景(背景の景観を取り込む技法)が息づいています。
本作では、世界各地の3Dスキャンデータや衛星情報を活用し、デジタル空間において庭園を創造しています。
デジタル技術の特性を活かし、物理的制約を超越することで、従来の庭園のスケールや時間軸を解体・再構築し、新たな空間表現を生み出しています。異なる時代の地形を融合させ、動的な変化を取り入れることで、伝統的な枯山水にはない新たな視覚体験を創出します。
また、本作に配置されたオブジェクトは、その地理的背景だけでなく、時代性も多様であり、「時間」と「空間」の枠組みを超えた枯山水を構築しています。
風景に響くサウンドスケープは、日本思想の原点を表現しています。0や1のような絶対的な価値に基づくものではなく、それらの間に存在する曖昧さや抽象性を伝えるために構築されており、浮遊する音やプリミティブな正弦波、そして伝統的な日本の楽器等を使用しています。
この作曲は、時間とともに変化する音に基づいて構築されており、目指しているのは音の数で空間を快適に埋めることではなく、少しの不安定さを感じさせるミニマリズムな感覚を生み出すことです。この音は、自己の内面を反映させることを目的としています。
本作は、日本文化の根底にある価値観を含んだ枯山水を、現代のデジタル手法によって再構築する試みです。この融合の中に、新たな日本の姿を見出すことはできるのか。
『Hyperbolic Scape』を通じて、鑑賞者自身の感覚と向き合いながら、この問いを探求していただければと思います。
松山周平
テクノロジーを基盤とした複合的アプローチで構築からソリューション開発までを行い、社会実装を目指すテクノロジスト・ヴィジュアルアーティストの松山周平は、プログラマー兼ビジュアルアーティストとして、最先端技術を活用したアートインスタレーション、ライブ演出、空間演出、企業のR&Dプロジェクトなど幅広い分野で活動している。オーディオビジュアル作品や大規模メディアコントロールシステムを用いたインスタレーション作品の制作においても実績を持ち、クリエイティブレーベル”nor”にも所属し、「テクノロジー×アート」をテーマとする作品を発表している。これまでに「ICC」や「MUTEK」をはじめとする国内外のアートフェスティバルやミュージアムでの展示、受賞歴がある。著書に『Visual Thinking with TouchDesigner』がある。
https://www.instagram.com/shuhei.matsuyama/
大野哲二
サウンド/ビジュアルプロジェクト。
90年代半ばより都内を中心にDJとしてのキャリアを経た後、 本格的に楽曲制作をスタートさせる。広告音楽の世界と並行して、2012年からビジュアルプログラミングによって生成されたA/V作品「triggering」を発表。「Intercity-Express」名義にて、主に海外を中心にライブ公演を行う。
主な出演として「MUTEK(カナダ、メキシコ、スペイン、東京)」「Scopitone(フランス)」「HPL(ロシア)」「L.E.V.(スペイン)」「Sónar(ポルトガル)」「WeSA(韓国)」など、アートフェスティバルでのパフォーマンスや「Sunscape Festival(マルタ)」などの野外フェス、「FILE(ブラジル)」「BRIGHT Festival(ドイツ)」「AVA(北アイルランド)」でのインスタレーション展示も行う。ソロ作品の他に、カナダのビジュアルアーティストPush1stopとの共作や、Rasterレーベル所属のKyoka、メディアーティスト山本信一、松山周平、ピアニスト澤渡英一など、コラボレーションも多数。
また国内の音楽活動として、TV・CMをはじめ、国営施設のサラウンドデザイン、自動車メーカーの車載ナビゲーションシステム音開発、商業施設のインタラク ティブコンテンツの制作など、音を通して五感を有機的につなぐ活動を行う
Concept, Visual Programming: Shuhei Matsuyama
Sound Design: Tetsuji Ohno


054F | Tatami
有料エリア



